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小田急 山のホテル “つつじ・しゃくなげフェア2014”俳句募集「受賞作品」

つつじ・しゃくなげフェア2014俳句募集「受賞作品」

山のホテルの「富士」を兼題に俳句を募集しました。

箱根でも屈指のロケーションを誇る岩崎小彌太男爵の別邸跡に建ち、いまなお当時の面影を色濃く残す「山のホテル」。男爵の「粋」や「ホスピタリティ」を受け継ぎ、皆様に見守られ続けて今日に至ります。高浜虚子に俳句を学び、自らも「巨陶」の俳号で句集を出す程であった岩崎小彌太男爵にちなみ、昨年ご好評でした俳句を今年も募集し、全国各地からハガキやインターネットを通じてたくさんのご応募をいただきました。

選者に中原 道夫氏を迎え、厳正な選考の結果、最優秀賞、優秀賞、佳作を発表いたします。

最優秀賞
借景に富士とはつつじ冥利かな

新潟県十日町市 涌井 悦子 様

<選評>
日本各地につつじの名所はあるだろうが、背景に名峰 富士山をいただくという贅沢、こんなつつじにとって最高のシチュエーションはここ箱根、山のホテルしかない、とズバリ言い切った。それでいて広告臭が全く感じられず巧者の作と思った。
優秀賞
富士に虹二人の旅は続きけり

神奈川県横浜市 三浦 節子 様

<選評>
幸いの兆でもあるかのような虹。富士を跨ぐ虹、肩にかかる虹、色々と想像できよう。二人で富士周遊の旅に来たのか、まだ旅は続くらしいのだが、千載一遇の出会い、富士と虹は眼裏にしっかり焼きついている。
鴨の水脈(みお)かがやき過る逆さ富士

東京都大田区 中村 宏汀 様

<選評>
早朝の湖は風ひとつなく、鏡のごとく逆さに富士を映し出す。日が昇ると水鳥達が段々活発に動き出す。いく筋か鴨の水脈が水面に映った富士を切るように過る。静謐な時間帯を上手く捉えている。
大の字で大富士を観る夏座敷

鳥取県鳥取市 中江 三青 様

<選評>
ホテルの和洋室だろうか。大の字で大富士という文字の効果も考えの上だ。広やかに開け放った窓から観る富士。チマチマとした都会の暮らし、喧噪を忘れるひとときである。
 
佳作
春光(しゅんこう)や富士の白さが目に染みる

東京都杉並区 住野 寿一 様

朝焼けの富士ゆつくりと目覚めゆき

熊本県熊本市 舛田 美子 様

石楠花の匂ひ立つなり富士日和

神奈川県横浜市 菅原 文子 様

喜びも哀しみも糧富士も春

神奈川県横浜市 澤井 伶似子 様

富士つつじ収まる構図ここにあり

東京都北区 伊東 登美子 様

水鳥も借景のうち逆さ富士

東京都北区 伊東 昭三 様

薫風や富士の根つ子の水掬ふ

埼玉県三郷市 畑中 友樹 様

黒富士を二つに分かつ稲光

千葉県習志野市 清水 なほみ 様

寒明けの富士を貼りつけ山上湖

神奈川県平塚市 内藤 保幸 様

冬晴れや風の切り出す富士の峰

茨城県那珂郡 五十嵐 裕治 様

 

このように実りある「俳句募集」が開催できましたのも、俳句選者の中原 道夫氏はもとより、この趣旨の理解と俳句を投句していただいた皆様のおかげと深く感謝いたします。

<中原 道夫 プロフィール>
中原 道夫1951年 新潟県新潟市和納(旧岩室村)に生まれる
1974年 多摩美術大学卒業
1982年 句誌『沖』へ投句を始める
1984年 第12回沖新人賞受賞、同人となる
1990年 第一句集『蕩児』(富士見書房)により第13回俳人協会新人賞受賞
1994年 第二句集『顱頂』(角川書店)により第33回俳人協会賞受賞
1998年 俳句誌「銀化」主宰


句集に「アルデンテ」「銀化」「歴草」「中原道夫俳句日記」「不覚」「巴芹」「中原道夫作品集成Ⅰ、Ⅱ」「天鼠(てんそ)」等。英訳 句集「蝶意」。現在、新潟日報俳句欄選者、NHK-BS俳句王国選者、日本文藝家協会会員、俳人協会幹事などを務める。TV番組では、「今日の料理」「男の食彩」「新・日曜美術館」「俳句紀行五-七-五」「BS俳句吟行会」「BS俳句スペシャル列島横断市民俳句大会」(以上 NHK)、「タモリのジャングルTV」「ジャポニカ・ロゴス」など多数に出演。
2009年4月から「NHKラジオ深夜便」一年間担当。
ツツジを守ることがホテルの誇り。今年も爛漫と花を咲かせて。

山のホテル 庭園岩崎男爵の時代から変わることなく咲き誇るツツジ。中には樹齢100年を超えるものも。美しい庭園を後世に残すために、ホテルでは年間を通じてツツジの世話をしています。
雪や老齢のせいで枯れてしまったものを補うために補植が必要になることもあります。けれど、ツツジは環境が変わると、なかなか根づかず、しっかり根づくのは1割程度。しかも、樹齢70〜80年のものを万一枯らしてしまったら、元の姿に戻るまでに70〜80年かけなくてはなりません。男爵別邸時代から受け継いだツツジを守ることはホテルの使命として、愛情をもって日々世話しています。

季節の花便りにて、現在の庭園状況や四季折々の花についてなど日々更新しております。
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